さんぽの道で、ひろわなかったもの

家のうらに、細い坂道があります。

車が通れないくらいの幅で、片側が生けがきになっていて、
その生けがきの下に、いろいろなものが落ちています。

きょう落ちていたもの

  • 赤くなりかけた葉っぱ(まだ半分は緑)
  • どんぐりのぼうしだけ(実はどこかへ行った)
  • 鳥のはね、白と灰色のしま
  • ちいさな石。まるくて、平ら

はねは、ひろいました。
きれいだったからではなくて、しまの数をかぞえたかったからです。
七本ありました。かぞえたあと、もとの場所にもどしました。

持って帰らない

昔は、こういうものを全部ひろって帰っていました。

机の引き出しに、葉っぱとどんぐりと石がたまっていって、
一年たつと、葉っぱは茶色くくずれ、どんぐりからは虫が出てくる。
石だけが、いつまでも石のままでした。

それで、あるときからひろわなくなりました。

きれいだと思ったことは、持って帰らなくても、たぶん残る。

石だけは

とはいえ、石だけは、いまでもときどきひろいます。

まるくて、平らで、手のひらにおさまるもの。
窓ぎわに、いま五つならんでいます。
どれをいつひろったかは、もうおぼえていません。

おぼえていなくても、五つあることだけはわかります。
坂道を五回、いいなと思ったということです。

それで十分な気がしています。

あしたも

あしたも、たぶん同じ道を通ります。

同じ道なのに、落ちているものは毎日ちがう。
そのことが、けっこう長いこと、飽きずにいられる理由です。